命を守る”言語化の魔力”

日々の気づき

「ああ、この本と2年前に出会っていればあいつの命を守れたのだろうか・・・」
そう悔やんでいる自分がいる。悔しくてしかたない。それでも前を向いて生きなければならない。そう思える、そんな本でした。

精神科医で作家の樺沢紫苑先生の最新刊「言語化の魔力」を読み終えたので感想を書いていきます。

この本を読めば多くの人の「悩み」が解消され、日々を幸せに楽しく暮らせる力を手にすることができるだろう、そう確信させてくれた本書。

今までの樺沢先生の本は「アウトプットしよう、行動化しよう、毎日を楽しもう」という思いが込められていました。

今回の本は今まで書かれた本の中でも実践しやすい、最もハードルの低いコトについて書かれています。

それは「言語化」です。要は自分の想い・悩みを話す、書くといった言語に置き換えることで解消しようという画期的な試みになります。

自分の想い・悩みを言語化するとその多くが少しずつ解消する。

例えるなら、マイナス10点だったものがいきなりプラス10点になるわけではありませんが、少しずつマイナス9点やマイナス5点になっていつの間にかプラスマイナス0、プラス2点へと好転していく、そんなイメージです。

悩みを減らし、幸福を増やすそんな方法について書かれています。

さて、この本を読んで一番感銘を受けたのが「言語化してガスを抜けば自殺を防げる」ということです。

ガス抜きとは自分の辛い、苦しいといったネガティブ感情をそのままに話すこと。

ガス抜きを行うことでストレス、ネガティブ感情を解消されるのです。

このことを知り、わたしは「ああ、あの時にこのことを知っていれば・・・」と衝撃を受けました。

あの時とは2年前、姉が自ら命を絶った時のことです。

その時、わたしはなぜ姉が死なねばならなかったのか、どうしてそんなことをしたのか謎でした。

しかし、ガス抜きの重要性を知ってはじめて2年間に及ぶ謎が解明されたように感じました。

姉はガス抜きができなかったから、ストレス・ネガティブ感情に流され自殺してしまったのだろうと。

あの頃、姉は精神疾患で入院していました。当時、コロナ禍でその病院は面会拒絶状態でした。

いつもならわたしや母が面会して、たわいの無い話をしながら姉と愚痴を言い合ったりしてガス抜きができていたのでしょう。

しかし、その時は数ヶ月前から姉とはろくに話す機会がありませんでした。

一人病院にいた姉はどういう心情だったのでしょうか?

親しい誰かに自分の胸の内を明かすこともできず、ただ孤独に毎日を過ごしていたのでしょう。

だから、突然自殺を図り帰らぬ人となったのです。

ガス抜きさえできていたなら、あんな結果に至らなかった、ただ話を聞いてあげられていたら、姉と今でもアニメや漫画の話をしていたかと思います。

ただ、誰かと話をする、そんな些細なことで尊い命を守れたのかもしれません。

わたしはこのことを知って「言語化」の重要性をはっきり理解しました。

また、言語化することの大切さを知った出来事があります。

それは、姉が自殺してそのショックでわたしは三日三晩泣き腫らしていた時のことです。

姉が亡くなり、葬儀がすんだ頃のわたしはとんでもないストレスとネガティブ感情に翻弄されていました。

「なんで、なんで・・・」

そんなことを戯言のように呟きながら部屋の片隅で泣いていました。

25年間共に暮らした家族を失った悲しみとやるせなさはわたしを苦しめました。

わたしはその時の苦しさから逃げようとふっと親友に電話をかけました。

「どうした〜?」

という親友の声を聞き、わたしはたまらなく心に溜まった想いを吐き出しました。

姉が死んでしまったこと、後悔、悲しさ、寂しさ・・・・

その親友はただ黙ってわたしの嗚咽を聴いてくれました。

そして最後に「苦しかったね」と友人が慰めてくれました。

その時、わたしは不謹慎だとは思いながら、姉を亡くした痛みが和らいでいくのを確かに感じて泣きました。

わたしのなかの悲しみが親友との会話の中で確かに言語化され解消されたのです。

この時の経験からわたしは自然とストレス解消やネガティブな感情が心の中に現れたら誰かに話す、文字に書いてみるというガス抜きを自然と行うようになりました。

この本に書かれたことはわたしの経験からしても正しいと思います。

「言語化する」ことで救われる命は確かにあるのでしょう。

著者の樺沢紫苑先生は精神科医として「自殺の予防」に力を入れています。そんな人だからこういう「人の命」を救う方法を言語化できたと思います。

この本は今悩みに苦しまれている人、その周りにいる人それぞれの人に間違いなく「救い」をもたらしてくれるでしょう。

少なくともこの本が世に広まればわたしのような経験をする人は減るのでは無いかと思います。

ただ、自ら命を断つ人がいなくなる世界、そんな世界をつくるためにこの本は生まれたのだろうと確信しています。

ぜひ、悩みを持つ多くの人々に読んでいただきたい本です。

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