「精神疾患患者にとって一人旅とは試練である」
そんな名言みたいな言葉が頭に降ってきた。
今でこそ、一人旅が趣味な私だが最初一人旅に出た時はとんでもない試練だったことを思い出す。
普通、旅行というと「楽しい」「息抜き」「娯楽」のイメージが強いだろう。
でも、精神疾患を患っている私にとって一人旅とはとんでもなく怖いものだった。
なぜなら、いつもの「日常」から抜け出し、「非日常の世界」に自分から飛び込むのは精神疾患を持つものにとってとんでもなくリスキーだからだ。
精神疾患を患うと普通の人より格段に適応能力は下がっている。それにプラスして個々の症状によってはストレス耐性が低くなっているだろう。さらに旅行中はパニック発作を起こす要因がいくらでもある。
一人旅には常にアクシデントやストレスはつきもの。自分で移動方法や宿泊場所を決めるからすべて自己責任だ。
常にある程度の緊張感を持たなければならない。精神疾患を患っているモノにとって過酷な状況。それが一人旅だ。
わたしがはじめて一人旅をしたのは大学生の頃、目的地は京都だった。
その当時のわたしは乗り物に乗るとたまにパニック発作を起こすことがあった。
京都はバスや電車で移動することが当たり前の地域だから、正直「いつ発作を起こすか・・・?」とドキドキ、ヒヤヒヤ。
でも、なんとか勇気を振り絞って一人旅を敢行した。
その結果、どうなったか??
結果は楽しかった。
最初ビクビクしながらバスに乗り込んだが何回も乗っているうちに「あれ、自分大丈夫じゃない?」と自信がついてきた。
それに発作や病気のことを考えるよりも、見るもの会うもの全てが興味深くて熱中してしまい、病気だとか発作のことが頭から抜けてしまったのだ。
最後は帰りの高速バスに乗ってサービスエリアの五平餅を食べている時に
「あれ、そういえば病気のことも発作のことも忘れていた。ただひたすらに遊びまくって予算が減ることの方に意識が向いてたな。」
なんて考えるくらい一人旅を楽しんだ。
いつもと違う環境に身を置くことで「今まで無理」と気に悩んでいたことが「あれ、全然できるじゃん」と気にする必要のないことだとわかることもある。
いつもと同じ生活を繰り返していれば確かに「無理をせず」「傷付かず」「平穏に」暮らすことはできる。
でも、たまには非日常、いつもと違う環境に飛び込むことで「自分はあんなに恐れてたけど、実はもうそんなに恐れることはない」とか「意外と自分いろいろできることがあるんだな」と気づきを得られ、自信が持てることもある。
試練を乗り越えた先に何が待っているかは誰にもわからない。けど、挑んだ先に「学び」「気づき」「楽しさ」など何かしらのリターンがあるかもしれない。
精神疾患になると「自信」や「自らの可能性」「自分のできること」を見失いやすい。
だから、毎日の暮らしが少し安定してきたら、ぜひ一人旅をしてほしい。
一人旅をすると失われた「自信」「可能性」「できること」をまた見つけることができるかもしれない。
わたしは少なくとも一人旅のおかげで「自信」や「やればできること」を手に入れた。
精神疾患の方にとって一人旅とはある種、卒業試験だと思う。
今まで「自分は何もできない」「精神疾患だから無理」という諦めや自信の無さから卒業できるいい機会なのだ。
国内旅行なら意外と楽なのでぜひ、一人旅行ってみてください。
違う景色が見えてきますよ!
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