昔、12年前統合失調症発症する前の自分は模範生でした。ようはマジメなやつ。先生の言うことやルール、規律を遵守していた。
提出期限を守るとか黙って掃除するとか挨拶するときは腰を90度に曲げるとか…。
いろいろ気にしてた。
だから、先生からの評価は上々。その分クラスメイトからは「真面目腐ったつまらないヤツ」としてイジメられてた。
でも、一度マジメ癖がつくととにかく気になる。不真面目なことができなくなって、なんだろう世界がつまらなくなっていく感じがした。
あんまりにも気にしすぎてだんだん妙なものが見えてきた。
それは鎌を持った黒いローブを着た骸骨で「マジメにしていないとたたっ切る」とわたしが正しいことをしなかったらいちいち脅してくる。
「そこはもっと腰を曲げろ!」
「それ以上ムダ口叩くと首をちょん切るぞ!」
そんなまるで死神みたいなのがわたしを律してくる。
そんな感じだったからとにかくマジメにマジメに行動した。
周りから「糞マジメ」「いい子ちゃん」と罵声を浴びせられるたびに「もっとマジメにしていないと!」とさらにマジメがエスカレート。
でも、人間だから限界がくる。
ある日突然「ボキッ」と折れた。
詳しくは覚えてないが気が狂ったようだった。
いろいろやらかし、自殺しないよう閉鎖病棟に担ぎ込まれた。
その頃思ったのはあのマジメしか許さない骸骨は死神だったんじゃなかろうか?
あの世からわたしを連れてくために派遣されたんだろうか?
マジメな人間って意外と死神にとっては良いターゲットなのか?
そんなこと思ってた。
その後、閉鎖病棟から退院してから何度かマジメに生きようとしたけどどうしてもマジメになれなかった。
レールから外れたらもう戻ることは許されないらしい。
当たり前の高校生活も当たり前の青春も私には用意されていなかった。
その代わり、えらく奇妙な獣道を歩いて来た気がする。
普通のレールの人生と奇妙な獣道、どっちが正しいかはよくわからない。
でも、自分らしいのはきっと獣道だろう。
少なくとも獣道にはあんな死神はやってこなかった。
そういうわけで、マジメなわたしは普通のレールから転がり落ちて獣道を大冒険して死神から逃げられた。
バイバイ!死神!!!
二度と来るな!
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