誰にでも消したい嫌な過去や今でも悔いている過去があると思う。どうしたって生きていればそういうものが生まれてしまう。
しかし、そういった忘れられない過去は早々に忘れた方が現在の自分が幸福に生きるための近道になる。
最近読んだ「言語化の魔力(樺沢紫苑)」を読んでそう思えた。
この本には過去を忘れる方法が書かれている。
それは「これにて一件落着」させるという方法。
人間には完了した物事、もうすでに済んでしまったことは早々に忘れてしまう「ツァイガルニック効果」という心理法則がある。
もう終わったことは忘れ、継続している案件は覚えているというもの。
私たちが過去の嫌な思い出を消せずにいるのはその嫌なことをいつまでも引きずっているから。
だから、その嫌な思い出、出来事を自分の中で完了、終わらせられれば記憶から消去できるわけだ。
これが一件落着させることの仕組みだ。
わたしはこのことを知って「あ、大学入学当初と一緒だ!」と気がついた。
わたしは高校受験、大学受験ともに志望校に行けなかった。高校受験は統合失調症を発症したためにご破産。
大学受験は1浪するも志望校には手が届かなかった。
大学入試に失敗したわたしは悔しさや恥ずかしさ、自己嫌悪でおかしくなりそうだった。
もう心が風船だったらあと少しで破裂して大爆発を起こしかねないというイメージ。
「もう大学なんて辞めて死んでしまおうか」と脳内をネガティブ思考が駆け回っていた。
そんな折、とある先生から「その激情を作文にして表現してみてはどうか?」「そういう思いは形を与えてみると楽になるよ」と助言をいただいた。
もうにっちもさっちもいかなかったわたしは「もう吐き出してしまおう」と作文用紙に自分の激情を叩きつけた。
とにかく自分や世界への恨みや辛み、理不尽さを書き連ねた。書いているともう気分はハイで「うわーーーーーー!!」と叫ぶかのごとく勢いで文字を書き殴った。
その量は原稿用紙30枚ほどにのぼった。それはまさに落とし前をつけるような気分だった。
そして書き終えた作文用紙を見ると「こんなものがあるからいけない!!」ととにかく狂ったように廃棄した。
一部はビリビリに破いて捨てた。また一部分は焼いて燃やした。くしゃくしゃに丸めてゴミ箱にダンクシュートしていく。
正直楽しかった。今思えば狂っているかと思われるがあの時はそれが何よりも痛快だった。
そして全ての作文用紙を片付けると部屋に置いてあった志望校のパンフレットや模試の結果などありとあらゆる嫌な思い出が染みついたものをゴミ箱にぶちまけた。
だいぶ部屋がスッキリするとなんだか笑えてきた。「フフッ」と笑えたのが嬉しかった。今まで何をしても心から笑えなかったけどやっと心から笑えた。
その後、わたしはどうなったか?
結局大学を辞めることもなく、多くの友達を作り、多くを学び、たくさん遊び、楽しい学生生活を満喫できた。
卒業して四年たった今でも大学受験に対する激情に終止符を打てたのは良かったと思う。その後の生活に間違いなくいい影響を与えた。
言語化することでなんだろう、「心のお片づけ」ができたのと思う。片付けないと前には進めないのでしょう。
「言語化の魔力」を読んでみて過去の自分はこの本にある通りのことを行っていたのだと驚いた。
人間は動物の中で唯一言語というものを持っている。言語を活用すれば悩みは消していくことができるのだ。
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