「喜んでいただき光栄です」
私が燻製をつくって誰かに食べさせて「おいしい」といっていただけたときに感じるのはいつもこの言葉だ。
私は2、3年前からちょくちょく燻製をつくってしまうのは自分で作った燻製を他の誰かが「おいしい」といって笑顔になってくれるのがたまらなく好きだからに違いない。
なぜ、燻製をつくり始めたか。
それは子供の頃よく川魚をつかみ取りした後、たくさんの川魚を父が燻製にしてくれた思い出があるからだ。
最初は思い出を思い出すために始めた気がする。
「昔はこんな感じだったなー」なんて感傷に浸るためだった。
しかし、今燻製をつくる理由は「誰かに喜んでもらいたい」からだ。
最初はつくった燻製を家族に食べさせてあげた。
すると、父からは「息子に昔つくってあげた燻製を息子からご馳走になるとは嬉しい」と。
母からは「お前さんのつくる塩サバの燻製は脂っこく無くておいしい」と。
それぞれ喜びの言葉をいただいた。
それがどうしようもなくうれしかった。
それからはいろいろな人に燻製を食べさせるようになっていた。
あるときはホームパーティにくん玉(燻製した卵)を持っていくとこれがなかなか好評だった。
最近だと自分より40歳年上の方に燻製をお土産に持っていくと良い笑顔を見せてくれた。
人が喜んでくれるものを自分がつくれることがこんなに心温まるものだとは思わなかった。
燻製づくりは非常に手間がかかるものだ。
でも、手順さえ踏めばそんなに失敗することはありません。
いかに丁寧につくるかが味の良し悪しを決める。
だから、食べてくれる人のことを想って作ればいいものが自然と出来上がる。
だから、私は燻製づくりがやめられない。
誰かに喜んでもらえるうちは燻製づくりを続けたい。
今燻製づくりを振り返るとそんな思いが心のうちに現れる。
次は誰に燻製を食べさせようかな?
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